『普通の人を生きる③』

アメリカ自閉症協会の有志が「定型発達」の人(つまり、普通の人ですね)に対して、かなり過激なパロディを定義しているのですけど、これを読んで笑ってしまいました。

「定型発達」の人にはニューロティピカル症候群が数多く見られるという内容なのですけど、ニューロティピカル(Neurotypical)とは日本語に訳すと「神経組織として定型的な」という意味になります。『普通という異常』から引用しますね。

1、ニューロティピカル症候群は遺伝的に発生する。

2、非常に奇妙な方法で世界を見る。
時として自分の都合によって真実を歪めて嘘をつく。

3、社会的地位と認知のために生涯争ったり、
自分の欲のために他者を罠にかけたりする。

4、テレビやコマーシャルなどを称賛し、流行を模倣する。

5、特徴的なコミュニケーションスタイルを持ち、
はっきり伝え合うより暗黙の了解でモノを言う傾向がある。
しかし、それはしばしば伝達不良に終わる。

6、ニューロティピカル症候群は、社会的関心にのめり込み、
自分の方が優れていると妄想し、周りの人間と脅迫的に同じになろうとすることに特徴付けられる神経生物学上の障害である。

7、悲劇的にも、発生率は非常に高く、
1万人に対して9624人と言われている。

8、治療法は現在のところわからないが、
多くのニューロティピカル症候群を持つ人は、自らの障害を代償して、
正常に自閉症の人と交わることができるようになる。

いや、あくまでもパロディですからね。自閉症協会からすると、普通の人というのはこういう病気みたいなものではないかと言いたいわけですから。

ただ、これって確かにいじコミの世界ですよね。さらに兼本浩祐は、いじコミの具体的なコミュニケーションは、おおよそ「色、金、名誉」でその骨格を描くことができるのではないかと思う…と書いています。

普通の人の行動する動機(対人希求性)は、恋愛・セックス関係か、お金持ちになることか、社会的地位・名誉に関することの3つしかない。そう言っているわけです。

普通の人というのは、この3つを巡って承認してもらうためのバトル・フィールドで生きている。

やっぱり普通の人を生きるのは、かなり大変なことですね。それが当たり前になっている世界で生きているから、そのことには気付かないのでしょうけどね。