シンゴの整体(35)駆け出しの頃④』

当時はうちの家に来てもらって施術するお客さんと、車で出掛けていって施術するお客さんが半々くらいだったので、どうせ裸足になるのだからということで、冬でもビーサン履いていたのよね。Tシャツにダウンジャケット、足元はビーサンって格好で、そのうえロン毛だから田舎じゃ目立つよね。

あんた、昨日どこそこのスーパーにいたでしょとか、よく言われたから、悪いことはできない。まぁ、しないけどね。

誰かの紹介で、リウマチの女性が整体に来てくれたのだけど、関節が弱くなっているから手荒なことはもちろんできない。だから、身体の内側に圧が入っていくような微妙な施術をしていたのだけど、気に入ってもらえたようで、あんたに整体してほしい人がたくさんいるから紹介するわと言ってもらえた。

そしたら、来るわ、来るわ…リウマチで悩んでいる方たちは横のつながりがあるようで、リウマチを持っている人たちがどんどん施術に来てくれた。たぶん、それで整体のスタイルが変わったというか、メインに使っているやり方とは別の技術を学ばせてもらったように思う。触れているだけのようなのだけど、ちゃんと効果が出るやり方というのかな。ただ、施術している方は頭のスイッチを切り替えるというか、意識のもっていき方を変えるのだけど、これを長くやるとひどく疲れるのよね。

ある日気づいたのだけど、この意識を長く使った後でお酒を飲むと、大変なことになる。缶ビール1本でも立てないくらい酔うのよね。ありゃいったい何なのか、いまだにわからないのだけど。

そうそう、そのリウマチの方たちなのだけど、本当にいい人たちで、うちの母親に食べさせてやってくれと言って、フキを炊いたのとか、煮物なんかをいつも持ってきてくれた。いい人なのは間違いはないのだけど、もしかしたら、このいい人さとリウマチには関係があるのかもと、ある日気づいたのよね。

どちらかと言ったら痩せ型で、きちんと身なりを整えていて、公務員とか学校の先生をされていた方が多かったのだけど、なんていうのかな、シャツを着たらボタンを一番上まで留めるタイプと言ったら分かってもらえるだろうか?アメリカ人だったら、日曜日は必ず教会に行くって感じの人たちなのよね。