記憶についているタグ

音楽と、感情と、記憶は…共鳴している。

「嬉しい」「悲しい」「辛い」など、感情に大きな動きがあった時に聴いた音楽ほど、強く記憶に残ることが分かっています。

記憶には、たくさんタグがついているというのが、私の私見なのですけどね。

例えば、祖母のことを思い出すと、祖母の着ていた和服のことを思い出します。祖母の和服をイメージしていると、切子の帯留めが浮かんできます。切子のことを考えていると、江戸切子のグラスが実家にあったなと思い出して…。

後藤明生の『挟み撃ち』は、あの外套はどこにいったのだろうと思い出して、外套を探しに昔の下宿先を訪ねるところから、次々に記憶が蘇ってくる話ですけど、記憶のタグって、そうやって、思いがけないところに自分を運んでくれる気がします。

感情もまたタグの一つ。

失恋した時に聞いていた曲には、「悲しみ」という感情のタグが付いているからこそ、うっかり夜中のラジオで耳にしたりすると…何年経っていても涙がこぼれてくる。

そうそう、その脳の仕組みを利用して、どうしても覚えなければいけないことは、何か感情とタグ付けて記憶するのが効果的だそうですよ。