ブロニスワフ・マリノフスキ、クロード・レヴィ=ストロース、フランツ・ボアズ、ティム・インゴルド。
人類学には「絶対にこの4人は外せない」という最重要人物がいる…『はじめての人類学』にはそう書かれているのですけど、著書を読んだことがあるのはレヴィ=ストロースくらいで、他の3人の名前は、どこかで聞いたことがあるなぁ…くらいだったのですね。
『はじめての人類学』を書かれた奥野克己は、長い歴史を持っている人類学の大まかな流れを、この4人に代表させて概観するという方法をとっているのですけど、これがきっと大正解だったのでしょうね。
そうか、そういう流れだったのかとズブの素人の私にも理解できたし、その上この4人がそれぞれに魅力的なエピソードを持っていて、ちょっとまぁ、にわかファンみたいになった訳です。ティム・インゴルドの本を衝動買いしちゃいましたしね。
①ヨーロッパの人々は大航海時代以降に、自分たちの外部で生きている民族と出会う。
②もともとは、そのような外部の人類に対して、進化論的にヨーロッパの人間がいかに優れているかを立証したいという動機から、外部の諸民族の研究が始まる。
③そのような視線は、ヨーロッパ内の文化にも向かう。フレイザーの『金枝篇』を読むと、呪術から宗教、そして科学へと至る精神的な進化の過程にヨーロッパ人もいるという進化主義的な主張をしている。
④資料を収集し、分析することによって諸民族の文化を研究する学問が立ち上がってくる。
ここまでが、人類学が誕生する前までの流れですね。人間は進化する。
ヨーロッパ人は新大陸やアジアの先住民族よりも進化している。それが前提となっていたことと、研究は研究室で行うというのが、スタンダードだった訳です。この2つをひっくり返すようにして、人類学は立ち上がってくるのですけど、これがなかなかに感動的なのです。