『美しい記憶って…?』

神経科学の専門誌「Journal of Neuroscience」によると、人は自分の記憶を勝手に「創り上げて」いるそうです。私たちの脳は構造上、記憶が薄れ、歪み、間違った解釈をすることで、現実になかった記憶を創り出すことがあるのだとか。

私の意見では「あるのだとか」どころか、それが普通だと思っています。

現実に起こった些細ことを、ネガティブな記憶に歪めてしまうことは、メンタルに問題がある場合によく見られるケースですけどね。

それよりも、誰にでも見られるのがBeautificationと呼ばれる、記憶の美化現象ですね。

「日本のお父さんはみんな悪かった」と言ったのは糸井重里ですけど、子供に語る父親の子供時代の記憶というのは、ちょっとヤンチャな方向に記憶が修正されている。「手がつけられなくてなぁ」なんて会話が日本中どこでもされているという話でした。

会社の上司の武勇伝とか、こういうタイプの話をする方多いですよね。女性の場合は、平凡な恋愛が、大恋愛をしたという記憶に上書きされていることが多いような…。

記憶って不思議ですよね。思い出した時、それが事実にどれだけ近いかだけではなく、その時に感じた感情も、思い出した時の気分を反映するのが普通ですから。

つまり、記憶というのはあてになりません。思い出すたびにバージョン違いを創作しているくらいに考えた方が無難かもしれないですよ。

すぐそこにあるのに、絶対にたどり着けないものはな〜に?

ミッションインポッシブル・デッドレコニングに出てきた謎かけです。

答えは「明日」。

「明日」になったら、その途端に「今日」になっていますからね。

過去にはたどり着けないのが人間、というよりも人間の脳。やっぱり今、この瞬間を精一杯生きたほうが良さそうです。