『シンゴの旅ゆけば~!(121)シャフ・シャウエンで歌舞伎町を見る⑥』

ハウタ広場には行きつけになっているカフェがあって、夕食を食べに食堂に出かける以外は、ほとんどホテル、ホテルの前の階段、広場、カフェを何度か往復するだけで1日が過ぎていった。

ミントティーを飲むのだけど、これがあまりにもミントが多いのと甘いからなのか、蜂が集まってくるのよね。どうしてフタが付いているのか不思議だったのだけど、ちょっとトイレに行く時とかにはフタをしておかないと、戻ってくると飲み物が蜂だらけになっていたりするのよ。

そのカフェには駄菓子のようなミルフィーユがあって、近所の雑貨屋に段ボールに入って売られているのを、そのまま出しているだけなのだけど…美味しいのよ。こういう、ちょっと雑にしたフレンチぽい食べ物というのがモロッコにはいろいろある。大鍋で煮たカタツムリを、爪楊枝でほじって食べさせる屋台はいつも盛況なのだけど、エスカルゴって呼んでいたしね。

1週間近く、毎日やって来てミントティーを何杯も飲み、本ばかり読んでいる日本人に興味を持ったのか、カフェの兄ちゃんだけでなく、色んな人が声をかけてくれるようになった。これがモロッコにいて一番不思議だったのだけど、アラビア語ができるのは母国語なのであたりまえなのだけど、次がフランス語、その次がスペイン語、このあたりまでは順当だと思うのだけど、その次はイタリア語とかドイツ語を達者に話す方が多いのよ。英語はほとんど通じない。

それでまぁ、片言の英語どうし、身振り手振りも交えながらやり取りをしていたのだけど、お酒を飲まない代わりに、とてつもなく甘いアラブ菓子をどんどん出してくれるのよ。ヨルダンも、シリアも、エジプトもそうだったけど、アラブの甘いものというのは、徹底的に甘いから(追いがつおツユってのがあるけど、アラブじゃそのままでも十分甘い菓子に、さらに追い砂糖をするのだ)ホテルに引き上げる頃には、毎日胸焼けしていたのよね。

明日の18時からだけど、衛星放送で日本の映画があるんだよ。
シンゴの国の映画を一緒に見ようぜと誘われた。モロッコで何の映画をするんだろう?オーケー!じゃあ明日18時に来るよ。

その時は、まさかあんなことになるとは思わなかったのよね。