『シンゴの旅ゆけば~!(120)シャフ・シャウエンで歌舞伎町を見る⑤』

本当に目の覚めるようなスカイブルーと、真っ白に、それもグラデーションがかかっているというか、ペンキをぶち撒けたというか、何だか適当に2つの色が混在しているのだけど、それがまた幻想的で現実感がまったくない。

さすがに若い連中はジーンズやTシャツ姿なのだけど、比較的高齢の住人はとんがり帽子のようなパーカーの付いたガウンを着て歩いている。これって何かに似ているなと考えていたのだけど…『スターウォーズ』でジェダイの騎士が着ている上着そっくりなのよね。

真っ青な石段を、買い物カゴを持った妖精のようなお婆さんが、ゆっくりと登っていく。その前を猫が通り過ぎる。そうそう、シャフ・シャウエンって猫がうようよいるのよ。こんなに猫を見たのは、猫で有名なギリシャの島くらいのものだ。

モロッコはフランスの植民地だったから、フランス文化がアラビア文化に混在したような、不思議な魅力があるのだけど…食文化は特にそうだと思う。サハラ砂漠あたりまで行ってしまうと、タジン(煮込み料理)とかメシュイ(肉の串焼き)ケフタ(ミートボール)ばかりになってしまうのだけど、シャフ・シャウエンの食堂は、こりゃフレンチだよなって感じの料理が出てくる。

反対にアラビア発祥らしいクスクスは、フランス人にとっては学校の給食の定番なのだそうで、ホテルで一緒だったフランス人は、いやぁ、クスクスはもう見たくもないとこぼしていた。

泊まっていたホテルは、モロッコ人の青年と(イケメン野郎だった)フランス人の彼女(ものすごく美女だった)が経営していて、城壁内部の中心にあるハウタ広場から階段を上がったところにあった。
どうもね…この美男美女カップルは、お互いの両親から結婚を反対されているそうで(まぁ、宗教的な違いもあることだしね)そのことの悩みをうちあけられたりしたのよね。

ハウタ広場は幾何学模様の床に、やっぱり青い公衆水道みたいなのがあって、決して広いとは言い難い広場なのだけど、子供たちがサッカーに夢中になっている。行きつけのカフェのテラスにボールが蹴り込まれることもあって、そういう時はカフェの兄ちゃんが出ていって、こうしてボールは蹴るんだとばかりに実技指導をする。

なんか平和でいいでしょ。