『シンゴの旅ゆけば~!(112)ニューヨーク~アムステルダム④』

アムステルダムといえば、それはまぁ悪名高い町であることに間違いはないのだけど、
レッドライン(赤線地帯ってやつよね)や、
コーヒーショップという名前のマリファナ屋さんが並ぶあたりと、
一般の地域というのは、結構はっきりと線引きがされている。

ヤバいのはレッドライン側であって、
アムステルダム駅を背にして左側に進まなければ、危険なことはないと思う。

まぁ、ミーティング・ポイントはヤバい側にあったのだけどね。

マリファナが合法というのも、当時はアムステルダムだけだったような気がする。
今はアメリカなんかも解禁になっているそうだけど。
だから、オランダから出る電車に乗っていると、必ず国境でチェックがあって、
特にバックパッカーは荷物の中まで調べられたのよね。
ドイツ国境で、「Do you have a marijuana?」と質問された時は笑ってしまったけど。
隠し持っていたとしても、Yesと答える奴がどこにいる?

確か11月あたりだったと思うのだけど、
新茶ならぬ、新マリファナが収穫されましたみたいな祭りがアムステルダムで行われる。
茶娘の衣装で、ちょっと飲んでいってくださいってデパートで新茶のPRをやっていたりするけど、
アムステルダムではミニスカートのお姉さんが、新マリファナいかがですかと声をかけてくる。

商売なんて、売っているものが違うだけで
やり方は似ているんだなぁってつくづく思ったのだけど…

ロスで銃器を扱っている店に入った時に、
このノリは釣り道具屋だなと感じたのを思い出した。
弾の売り方というのが、ケースも含めて釣りのおもりの売り方とそっくりだったのよね。

それはともかく、マリファナはヤバいなぁと思ったことがあったのよ。

ゴッホ美術館に行った時に、入り口を入ってすぐのところで、
若いお兄さんが驚いたまま固まってしまったような顔をして絵を見つめていた。
瞳孔が開いているんじゃないかって思うくらいすごい顔だったのだけど…
きっとキマッていたんだと思う。

一通り絵を見て、ランチも食べて、さぁホテルに戻ろうと思って出てきたら、
そのお兄さんはまだ同じ場所にいた。
相変わらずの顔だったから、ありゃ目が乾燥するよな。