史実が元になっている映画にはよくあるケースなのですけど、登場人物のその後がエンドロールで語られるのを読んで、本当にグズグズになるくらいまた泣いてしまいました。
つくづく思うのですけど、人間の持っている共感する能力は本当に素晴らしいものですよね。
俳優さんたちが演じている架空の(今回の映画はご本人がいらっしゃる訳ですけど)キャラクターの感情を共有することさえできてしまうのですから。
本日2本目の映画は『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』なのですけど、私が学生時代を過ごしたボストンの街が登場してきます。と言っても映画は1970年の設定ですので、私はまだ生まれていませんけどね。
『サイドウェイ』のアレクサンダー・ペイン監督とポール・ジアマッティのコンビですから、まぁ面白くない訳がないのですけどね。アカデミー助演女優賞を受賞したダヴァイン・ジョイ・ランドルフが出てくると、画面が妙に生き生きしてくるとか、ペイン監督がハル・アシュビー監督を大好きで『さらば冬のかもめ』を下敷きにしたとか(私もハル・アシュビー監督作品が大好きなのです)そうなるとやっぱりアイス・スケートをするシーンが出てくることになる訳で、映画好きというか、ちょっとした映画オタクにはさらに楽しめる映画でした。
まぁでもですね。精神科医という職業的な見方というのは、どうしても何かを見るという行為に付随してきてしまうもので…映画の中盤以降、ずっとM・スコット・ペックの『平気でうそをつく人たち』のことを考えてしまっていたのです。
舞台となっている名門ハイスクールですけど、寄宿舎があって子どもたちは親と離れて生活をしている訳です。クリスマス休暇(アメリカでは、お盆と正月がまとめて来たような休暇です)に実家に戻れなかった子どもたちと、監督をすることになった教師、それから食事を作るコックの女性の関係や、それぞれの心が変化していく様子が映画の見どころなのですけど、実家に戻れなかった子どもたちいうのは、色々に複雑な事情を抱え込んでいるのです。
子どもを預けることで厄介払いする親もいる。「愛」がないのですけど…そう、きっとこの映画は「愛」についての映画だと思うのです。