『シンゴの旅ゆけば~!(118)シャフ・シャウエンで歌舞伎町を見る③』

分かりもしないのに、小難しい本ばかり読む。

これはまぁ、バックパッカーにありがちな、ある種の中二病みたいなものなのだけど、20代の俺はどっぷりその病気に罹っていた気がする。でもね、今になって思うとあの時期があったから、今も楽しくやっているような気がするのよ。

人生とは何かとか、愛とは何かとか、死とは何かとか、どう生きるかとか、どう死ぬかとか、そういう青臭い問いは、期間限定で構わないからマジで考え込んだ方がいいのかもしれない。映画化された『シェルタリング・スカイ』のラストシーンで、ポール・ボウルズ自ら朗読している詩があるのだけど、ある程度歳をとった今の方が、何だかグッとくるのよね。

「我々はいつ果てるかを知らない。だから人生を涸れない井戸のように考える。だが、いかなる事も限られた数しか味わえない。自分の人生に深く影響を与えた幼少期のとある昼下がりを、幾度思い出すことだろう。自分の人生を左右したと思えるほどの大切な思い出を、人は何回心に浮かべるのか。
4、5回?それ程ないかもしれない。満月が昇る姿をあと幾度見るだろう?たとえ20回だとしても、すべてが無限の如く思えるのだ。」

亡くなった坂本龍一の本のタイトル
『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』はきっとこの詩の引用だと思う。

まぁそれにね。小難しい本の話をしていると、ちょっと女の子にモテたのよね。
そういう時代だったのだ。