『シンゴの旅ゆけば~!(116)シャフ・シャウエンで歌舞伎町を見る①』

ニューデリーからパリへ。一番安いチケットを探したら、ビーマン・バングラデシュ航空だった
のだけど、まぁとにかく時間がかかった。ダッカで乗り換え、ドバイで乗り換え、パリのオルリー
空港に着いたときはヘロヘロになっていた。

とりあえずコーヒーでも飲もうと思って、到着ゲートのそばにあったカフェに入ると…
コーヒーがだいたい400円くらい。まぁ普通なのだけど、つい数日前まで1泊300円のホテルに
いたのだから、なんじゃこりゃって気分になるのよね。

それでまぁ、とにかく節約してフランスを南下していったのだけど、これはまずいと思うくらいお金がなくなってきた。それで急遽予定を変更して、モロッコに向かうことにした。とりあえずヨーロッパを出れば、幾らかでも物価は下がるはずだから。

まずはアンダルシアのアルヘシラスまで行き、そこからフェリーでアフリカ大陸に渡る。

勘違いしていたのだけど、アフリカ大陸の入り口になるセウタという町は、まだスペイン領なのよね。
モロッコに着いたと思っていたら、いや、ここはスペインだよ。モロッコに行くには国境を超えなきゃ
と教えてもらって、国境までのバスに乗った。

スペイン・モロッコ国境は、おいおいとため息が出るくらいの大混雑だったけど、あ、日本人ね、
はいスタンプって感じで入国審査はすぐに終わった。
ここからタンジェを目指すのだけど、バスがたくさんあるみたいだから、慌てるこたぁない。
ランチで食べたクスクスから考えると、物価はヨーロッパよりもかなり安いようだ。

どういう訳だか知らないけど、香辛料の匂いや、カラッとした暑さ、こじんまりとした商店が
ひしめき合っているスーク、タイルを敷き詰めたテーブル、全く読める気がしないアラビア語…
そういういかにもアラブっぽい要素の中に身を置いていると、気持ちが高揚してくるのよね。

この雰囲気が大好きな俺としては、ジャン・ギャバンが『望郷』でパリに戻りたがる気持ちが
今ひとつ分からないのよ。ギャバンが暮らしていたのはアルジェリアのカスバだったけど、パリより
いいと思うけどな。