『シンゴの旅ゆけば~!(104)ダライ・ラマに会いにいく⑥』

ねぇ、説法の時に、みんなよく笑っていたでしょ。あの部分って英語に訳してくれなかったんだよ。どういうことをダライ・ラマは言っていたの?

ホテルに戻って、オーナーの兄弟に尋ねると、ああ、そういうことねという顔をして兄貴が教えてくれた。

外国人には、きっとダライ・ラマのイメージが壊れないように配慮したんだろうけどさ。あの方の十八番ってね、下ネタなんだよね。

うぇっ!ダライ・ラマが下ネタ?

ああ、だから今回1番ウケたのは◯◯なんだけどね。いつも何かしら下ネタ言うよ、あの方は。

まぁ、このネタはかなり面白いのだけど(聞いた時は爆笑した)かなりヤバいネタでもあるので伏せときます。知りたい人はサロンに来ておくれ。

いつだったか、ダライ・ラマのインタビューを読んだことがある。ダライ・ラマとか、チベット密教の偉い人たちは、亡くなると側近が生まれ変わった子供を探し回ってテストをすることで、次の代に継承するというシステムになっている。

先代のダライ・ラマの生まれ変わりだと、自分でも信じていらっしゃるのですかという質問に対して、ダライ・ラマは、周囲の者たちはそっくりだと言うのだけどねと断った上で、こう言っている。

どうも先代も機械いじりが大好きだったそうなんですよ。私もそうでね。プレゼントしていただいたロレックスの時計を自分でオーバーホールしようとしたのですけど、これが元に戻せなくなってしまいました。それで、部品全部を封筒に入れてスイスに送ったのですけど、ちゃんと元通りにして送り返してくれましたよ。

ああ、こっちは素の方のダライ・ラマだなと、彼を目の前で見た後だから、すぐに分かる。キリスト教の聖職者との対話とか、日本に戻ってダライ・ラマの本はずいぶん読んだのだけど、どうもね、これはよそ行きバージョンのダライ・ラマだなという本ばかりだった。いや、もちろん立派な方なのは間違いがないのだけど、俺がダラムサーラーで会った彼は、もっとずっとリラックスしていて、まるで子供のように無邪気な感じだったのよね。

もうかなりのご高齢だと思うけど、こういう人はいつまでも地球にいてほしいと思う。