『シンゴの旅ゆけば~!(86)バラナシの葬送⑧』

ガートで行われる葬送の流れはこんな感じだ。

竹で編んだ担架みたいなのに乗せられたご遺体が運び込まれる。背負っているのは男性ばかりで女性は基本的にガートから向こうの河岸には近づかない。包帯みたいなのでぐるぐる巻きにされたご遺体の足先をガンジス川の水につける。すげぇなぁって思ったのは…このガートのすぐ下流あたりでは子供が川の中で頭を洗っていたり、歯を磨いていたりする。毎日ご遺体を見ながら頭を洗っていたら、どんな大人に育つのかね?

燃え盛っている焚き火の中に、ご遺体が寝かされる。よく燃えるように前日に蠟を身体に塗るそうだ。恐ろしいことに、人間だってアジの開きと同じで、しばらく焼けると起き上がってくる。おお、起きたぞと思って見ていると、またぐたっと倒れて伸び切った感じになる。焚き火が点在する河原を水牛がウロウロ歩いているのだけど、希望すると水牛の乳をご遺体にかけてくれる。そうするとよく燃えるのだそうだ。

身体の中央あたりはよく燃えるけれど、腕やら足先やらは殆ど火が回らないままになっている。そうすると、ガートの番人みたいなオヤジたちが長い棒でご遺体を突き崩して、焼け残った部分を炎の中に放り込む。この職業というのはカーストで決まっているそうだ。社会的な地位は低いけれど、お金持ち一族だよとクミコさんが言っていた。

まぁでもね、そうは言っても焚き火なのだ。日本の火葬場のように、ご遺体が骨になるなんてことはない。燃え残りが散らばっていても、適当な頃合いになると火葬は終了することになる。次のご遺体が待っているからね。

なまくらカミソリで頭を丸めて血まみれになったまま、男が壺を持ってガンジス川に降りていく。壺にくんだ水を肩越しにバサッとご遺体にかける。それが終了の合図らしい。この役目をするのは、ご遺体と一番近しい親族の男性と決まっているそうだ。まぁでも、そんなものじゃ火は消えない。で、どうなるかと言うと、例の隠亡(おんぼう)さんのカーストのオヤジたちが足で消す。え~っ!踏み消すのと思っていると、さらに衝撃的なことが起こる。

残ったご遺体の焼け残りは、ガンジス川に蹴り込まれるのよね。そんなあなた、蹴るのかよ。祟リとかないのかと思っていたら…今でも忘れられないことが起こった。