1999年に公開された映画『スリーピー・ホロウ』はジョニー・デップ主演の、ゴシック・ホラーなのですけど、この映画の原作者はワシントン・アーヴィングです。
『リップ・ヴァン・ウィンクル』でアメリカではかなり有名な作家なのですけどね。彼が出版した本に、ニューアムステルダムはもっと人情味があって、いい町だった。
だけど、ニューヨークと呼ばれている今の町は世知辛い。
そういうニューアムステルダム時代を懐かしむような内容があるそうです。
その本のタイトルは『ニューヨークの歴史』と言うのですけど、出版されたのは1809年12月6日です。
つまり聖ニコラウスの祝日なのですね。
オランダ人移民と聖ニコラウスが本の中では結び付けられていて、マンハッタンを発見して開拓したのは、聖ニコラウスの夢のお告げがあったからということになっているのだそうです。
オランダ人と聖ニコラウス(オランダ人はシンタクラースと呼んでいました)の関係が深いことは『ニューヨークの歴史』が出版されたのと同じ頃に設立された「ニューヨーク歴史教会」の作ったビラにも出てきます。
4.ニューヨーク歴史教会の作った、聖ニコラウスを讃える詩が書かれたビラには、彼が金貨入りの袋を持っていて、暖炉のそばに子供が靴下をつるす絵も入っているたそうです。
プレゼントは靴下に入れてもらうもの…このイメージはここからきているのでしょうね。
5.1823年に神学者のクレメント・クラーク・ムーアが書いた『クリスマスの前の夜』という詩が大ヒットするのですけど、この詩の内容というのが、聖ニコラウスがトナカイの引くソリで、家に訪れ、靴下の中にプレゼントを配ってまわるというイメージだったのです。
6.政治漫画家トーマス・ナストが、1862年に『ハーパーズ・ウィークリー』のクリスマス特集記事に、白いひげ、白い縁取りの帽子、ブーツ、といった今のサンタクロースのイメージとほとんど同じ挿絵を描きました。
それが、1919年以降の『ザ・サタデー・イブニング・ポスト』になると、真っ赤な服・帽子・ズボンという衣装に変わり、さらに1943年から、その衣装を着たサンタクロースのイメージを使ったコカ・コーラの宣伝が始まった。
私たちが持っているイメージというのは、長い時間をかけて変遷してきたものなのですね。