『なぜ十番なのか?②』

十番の由来については分からない。まぁこれは仕方ないにしても、麻布の由来については完全に当てずっぽうなのですけど、麻を育てていたから説というのが、私的にはしっくりくるのですね。

ほとんどテレビを見ないのですけど、何度か『ブラタモリ』を見たことがあって、タモリさんは高低差とか、坂にかなりマニアックな反応をする方なのですけど、きっと麻布あたりは彼にとって楽しくて仕方ない場所ではないかと思うのですね。

何しろ麻布十番あたりといったら、坂だらけなのです。

有名なところでは仙台坂(仙台坂上、仙台坂下というバス停があります)でしょうけど、なかなかチャーミングな名前の坂があれこれあるのです。

狸穴坂 (まみあなざか)…狸の漢字になっていますけど、どうも「まみ」というのはアナグマのことだとか。近くに鼠坂もあります。

暗闇坂(くらやみざか)サロンから元麻布方向に上がっていく道にある坂なのですけど、暗くなるほど樹木が生い茂っていたことから暗闇坂と名付けられたそうです。

港区のホームページには坂図鑑というページがあって、港区内には86の坂があるそうです。

そうそう、それでですね。港区のハザードマップによると、万が一津波が押し寄せてきた時に避難所として指定されているのは、有栖川公園の上なのですね。ここらには貝塚があって、ということは昔はこのあたりまでは海があったということなのです。

港区の高低差を見ることのできるマップで確認しても、有栖川公園から元麻布あたりが一番高い地域で、麻布十番から古川橋、そこら明治通りを渋谷方向に行った天現寺、広尾駅前あたりまでの川沿いの地域というのは、かなり土地が低いのです。港区の多くの坂は、この低地から元麻布方向に上がっていく途中にあるのですね。

この高低差マップを見ていて、この低さだときっと水害というのはつきものの土地だったのだろうし、生命力の強い麻が育てやすかったのだろうなと、何となく思ったのですね。

そういえば麻布十番で生まれ育った方が話してくれたのですけど、今年の6月に水道管が破裂して白金高輪が水浸しになったニュースを見て、昔を思い出したそうです。水との戦いというのも、この地域の方たちは頑張ってこられたんですね。