自分を変えて、誰かに自分を認めてもらったら…自分のことを認めることができるようになるかもしれない。自分のことを好きになれるかもしれない。これは前回書いたように大間違いなのです。「自己評価」(他者から評価されるような要素)をいくら上げても、つまりいくら「いいね!」をしてもらっても「自己承認」(自分を好きかどうか)は上がりません。なぜなら、この2つの評価には相関関係がないからです。
斎藤理論では、自分を他者から認めてもらうために頑張り続けなければいけないと思っていると、その頑張っていること自体が「耐えがたい寂しさ」として感じられるということでした。「私は何をやっているんだ」そう感じてしまうからですね。そして「寂しさ」を感じないように、感覚を鈍くしていくと、今度は「退屈」を感じるようになってしまう。
「寂しくて退屈な人は、愛されたい対象の安全な代替物として、自分を拒絶しないであろう食物やアルコールなどの嗜癖対象を選ぶようになる。そうした状態こそが依存症である。」
斎藤理論はだからアルコールや薬物の依存症になるということなのですけど、この文章に書かれている「愛されたい対象」というのが何かと言ったら、それはおそらく「親」なのです。
どんな自分でも、つまり勉強ができなくても、別に可愛らしい容姿でなくても、身体が不自由であったとしても、精神疾患があったとしても、それでも、親から認めてもらう経験をした方というのは、自分を認めることができる。つまり「自己承認」が高いのです。