ゲームの世界は文明が崩壊した状況なのですから、長距離を移動するのにも基本的には徒歩です。
映画の途中で車を運転するアバターが1度だけ出てきますけどね。映画を制作したスタッフによると、インタビューを受けてくれるアバターに会うために、ゲーム内を3時間歩くようなことも頻繁にあったそうです。
ゾンビや盗賊を警戒しながら、その上食糧と飲み物を準備して歩かなければいけないのですから、映画制作は結構大変だったようです。
まぁ、この手のドキュメンタリーですから、まずはちょっと衝撃的というか、観客をぐいと引き込むインタビューが必要になるのですね。
ドキュメンタリー映画というのは、どう撮っても中立という立場はあり得ない訳です。
制作側の意図がそこには必ず反映される訳ですから。作品として面白くある必要もありますしね。
それで、最初に登場するのが、破壊することや、奪うことを信条とするグループなのですけど、このグループのリーダーは女性です。
インタビューの途中で現実世界で彼女の子供が泣き始めて、ケアするために席を離れるという音声が入ってきますから、現実に女性のようです。
拉致したゲーム初心者をいたぶっている現場でスタッフはインタビューを行うのですけど(最後には初心者アバターは射殺されてしまいます)彼女は野菜を育てているアバターにも襲いかかります。
私は植物を育てるなんて大嫌いと彼女は言うのですけど、まぁでも現実世界は母親として普通に生きているのですよ。
現実の彼女は強い暴力性や、反社会性を抱えていて、それを抑圧している。
だから現実世界では母親ができている。だけど、法的に責任を問われない異世界では、ある意味では彼女の本性が顕になる。
そう考えればシンプルなのでしょうけど、どうもそれは違うように思うのですね。
どちらかといえば、人間の持っている二面性、もしくは人格の多様性と言ってもいいかもしれないですけど、そちらと関係が深いように感じましたね。
いずれにせよ、映画内の情報だけで彼女をプロファイリングするのには無理がありますけど、まぁ、友達にはなりたくないタイプであることは間違いがないと思います。