『異世界からのレポート②』

そもそもパソコンのゲームでしたことがあるのは、麻雀くらいのものですし、オンラインで誰かと対戦するというのではなく、あくまでもAIが相手でしたからね。

ですから、映画の冒頭は、どういうことなの?とゲーム世界の前提を理解するのに時間がかかりました。

この『DayZ』というゲームは、自分のアバターを作って、そのアバターを使って広大な土地(荒廃した東ヨーロッパという雰囲気だそうですけど)を旅して回ることができます。

すごいなぁと、本当に息を呑むくらい美しい森の風景もあれば、満天の星もある。

朝焼けもあるし、寒い時期にアバターが走ると、息が白くもやのように立ち上っていく。

だけどゾンビがうようよいるのですから、武装してゾンビと戦うことが必要だし、それどころか食料や飲み物を確保しないと死んでしまうのです。

生き残ることが目的なのですから、悪い悪魔を倒したらゲームが終わるということもなく、いつゲームを辞めるかはプレイヤー次第ということになるのです。

前から誰かが歩いてきたら、それはAIではなく、現実の人間が操作しているアバターです。

ゲーム内でのコミュニケーションは、アバターを介しているけれど、現実の人間との間で行われています。

男性のアバターだから、現実のプレイヤーが男性とは限らない。アジア人の見た目だからアジア人とは限らない。

アバターですからね。

すべてのプレイヤーが善良とは限らず、ゲームの初心者を狙って殺して身ぐるみ剥いでしまおうと狙っている連中もいますから、ゾンビよりもタチが悪いですよね。

南アフリカからゲームに参加しているプレイヤーもいる。

アメリカやカナダからもいる。

ゲーム内で隣にいたとしても、現実には数万キロ離れた場所にいる者同士が、戦ったり、協力したりしている。

なんとなく、背景がご理解いただけたのではないかと思うのです。

そのような世界に放り込まれたら(まぁ、プレイヤーは自らの意思で入っているのですけどね)人間は何をするのか?

現実世界と同じことをする。

それがまずは答えですね。

仲間を作って、生き残る可能性を上げる。

だけど仲間内で揉めごとが持ち上がることもある。

他のグループと戦いが起こる。

どこにも所属せず、何もしないで傍観している人もいる。

意見の違いが生まれる。宗教が生まれる。

現実と何ら変わらないですよね…?