なんでまた、そういうイベントに参加することになったのか、今考えてみると妙な気もするのだけど、フランスのシャンパーニュ地方(つまり、シャンパンを作っている地域)で行われる世界シャーマン会議というのに行ったのよ。
密教の僧侶だとか、ネイティブ・アメリカンの呪術師だとか、南米のシャーマンだとか、ケルト人の末裔だとか、魔女だとか、まぁいろいろと人を助けるのに、今の世の中では主流ではないけれど、ちゃんと効果がある技術を持っている人たち…の集まりだと思ってもらったらいい。
俺からしてみたら、すげぇなぁこの人はって人たちばかりだった。
それはそうと…英語で城と言ったら、キャッスルだと思っていたのだけど、小さめな城のことはシャトーと呼ぶことをその時に知ったのね。
何しろ会場がシャトーだったからだ。そういやブルーシャトーってムード歌謡があったな。
世界中いろんな国から、本当にいろいろな見た目の人たちが集まっていて、かなり広大な敷地の中に散らばって、あれこれ話をしているのだけど…なんだか現実のことのように思えなかったのよね。
俺はまぁ、そもそも集団で何かをするというのが苦手なもので、とりあえず敷地の中を散歩して回って、トーテムポールを彫っているところを見物したり、何かしら議論をしているのを聞いていたりしていたのだけど、フランスの秋の自然というのは本当にきれいで、太陽の光の加減もいい感じだし、ブルーベリーとかブラックベリーが自生していて食べ放題だし、見たことのない鳥が池の上を飛んでいたりして、退屈することはなかったのね。
そうこうしているうちに、ネイティブ・アメリカンの酋長さんらしいのだけど、身体の調子が良くないから、整体してほしいという話がきて、彼の部屋に出かけていった。
なぜか上半身裸で彼は待っていて、やけに逞しい身体だったのだけど、なんでも妹さんが亡くなったばかりで悲しくて仕方ないという。
アメリカ英語だから、なかなか聞き取るのも大変だったのだけど、まぁそりゃそうだよな、俺も弟がいるけど、あいつが死んだらあんたと同じ気持ちになるよとか、そういう話をしながら肺が広がるように(悲しみは肺にダメージを与えるのよ)施術したのよね。