「やり抜く力」というのは、子供時代の生活習慣にかなり左右されることが分かっているのですけど、ダックワース教授は「やり抜く力」を我が子に持たせたかったら、以下の2点が重要だと言っているのです。
1.スポーツや芸術など、ジャンルは問わないけれど、課外活動に打ち込ませること。
2.子供が、自分の意思で課外活動を始めることを決めたら、最低でも2年以上続けさせること。
もちろん、大人になってからでも「やり抜く力」は伸ばすことができるのですけど、それはダックワース教授の著書を読んでいただくとして、私がやっぱりなぁ…と思ったのは「最低でも2年」という部分なのですね。
将棋の羽生名人が将棋を指しているとき、彼の脳がどのように働いているのかを調べた研究があるのですけど、かなり興味深い結果が出たのです。
1.一般の人(とは言っても、将棋を趣味として楽しんでいる方ですけどね)というのは、どう指すかについて考えるのですから、前頭前野が活性化します。それから将棋にはこういうケースではこう指すのが最善とされる「定跡」がありますから、それを思いだすために海馬も活性化するのです。
2.ところが、羽生名人の脳というのは、前頭前野や海馬よりも、大脳基底核の尾状核が活性化することが分かった。
この大脳基底核の尾状核という部分ですけど、「手続き記憶」の座だと言われているのです。「手続き記憶」というのは、自転車に乗るとか、ピアノを弾くとか、指先や身体で記憶しているような記憶のことを言います。頭で思い出す(例えば、あの背の高い方って、田中さんでしたよね…?とかですね)普通の記憶とは違って、言ってみたら、昔とった杵柄が通用するような記憶のことですね。
専門的には「手続き記憶」は「非宣言的記憶(非陳述的記憶・潜在記憶)」の中にある記憶と言われているのですけどね。
1.繰り返しの反復によって獲得される。
2.一度「手続き記憶」として獲得されると一生忘れない。という特徴があります。 運動技能、認知技能、習慣が「手続き記憶」に分類されています。
つまり、羽生名人クラスになると、自転車に乗っているような感覚で将棋を指している。そういうことになるのです。