『自由という刑罰⑤』

2つ目の処方箋は、誰かと(インターネットの中ではなく)リアルな世界で「ああ、私は生きているなぁ」と感じる体験をすることです。

毎日「あなたは◯◯だよ」と認めてくれる相手、触れることのできる距離にそういうリアルな相手がいるのが望ましいですけど(家族や、恋人、友人ですね)そうでなかったとしても、関わりを持った誰かとそういう経験を持つことが大切です。

脳の左右に「島皮質」と呼ばれている部分があるのですけど「ああ、私は生きているなぁ」という、あの感じはそこで生まれてくるのですね。

現実感が喪失する。周囲が色褪せて、生き生きとした感情が失われる。世界を現実だと感じられない。自分が存在していることも、あやふやに感じる。

そういう症状を離人症や解離性同一性障害、あるいは重度のうつ病の患者の方は訴えられることが多いのですけど、そういう症状が出ている時は「島皮質」が機能低下していることが分かってきています。

臨床の現場で、そのようなクライアントに話を聞くと「今までと同じように、外の世界を見ることもできる、聞くこともできる、感じることもできる。だけど、その世界に自分は含まれていない。」そういう表現をされる方が多いです。

これはどういうことかと言うと、自分の外側から自分自身を眺めるという、いわばメタ認知の機能に問題が生じているということですね。

今、自分は◯◯と一緒にいて、凄く楽しい。ああ、私は生きている。それを外側から眺める。それが2つ目の処方箋になると思います。