それはそうなのだけど…確かにチャーリー・パーカーのバードというニックネームは、ヤードバード(ニワトリのことです)を好んで食べていたことが由来だし、それくらい確実に致死率100パーセントで人は死ぬものかもしれないけれどね。
だけど、今回の問題の本質は、あなたがあまりも早く消えてしまったことにある。
倍音の一人として、私は声を大にしてそう言いたいのですけど、きっと耳のいい彼女にはその声が届いているでしょう。
「サヨナラを言うのは、少しずつ死ぬことだ」
フィリップ・マーロウはそう言いましたけど、彼女はサヨナラを言う間もなくいってしまった。そのことが問題なのですよね。
彼女が残していったこと。やり残した仕事のいくつかを、私は少しずつ片付けようとしています。
倍音同士がサロンやカフェで会い、消えてしまった基音のことをあ~だこ~だと語る数日を過ごし、少しずつ彼女を弔う準備が整ってきた気がしています。
この仕事を、彼女だったらいったいどう片付けたのか?
不在の基音の残した「問い」に答えながら、きっと彼女の存在しない世界を受け入れていくのでしょうね。
倍音が存在するという、この世界の仕組みは…残酷な世界の中にある、何よりも「やさしい」仕組みのように思うのです。