『夢を見るかもしれない②』

フロイト派やユング派の心理分析を受けることになる。

そうなると…私は夢を見ないと仰っていた方も、かなり頻繁に夢を見るようになります。前回書いたように誰でも夢を見ているのですから、夢を覚えている能力の方が上がるということになるのですね。

分析を始めた最初の夢を「イニシャル・ドリーム」と呼びますけど、この夢はその後のカウンセリングの方向性を決めていくために重要なものになります。

ところがですね。フロイト派の分析を受けると、どうもフロイトっぽいというかフロイト型の夢を頻繁に見るのです。性的・攻撃的なシンボリズムに満ちた夢を見ると訴えることが多くなります。同じクライアントがユング派に鞍替えすると、今度は曼荼羅とかアーキタイプとか、ユング型の夢を見るようになるのです。

カウンセラー側の期待や願望に従って、自らの夢を変化させることをクライアントは学んだということになるのですけど、これはつまり夢というのは、自分で形作っているものであるということになると思います。夢を見ないと仰っていた方が、ちゃんと夢を見るようになるのも、もしかするとカウンセラーに気を遣って覚えようという意識が働いているかもしれない。そういうことですね。

寝ている時にも人に気を遣っている。同じように、寝ている時にもプライベートの部分は見せたくないなという意識が働くから、無精に至るような性的な夢を検査では見ない。

人って、本当に気を遣って生きている動物なのね。このことを考えると、いつもそう思います。