『シンゴの旅ゆけば~!(139)世界シャーマン会議!⑥』

水をかけられたり(ずっと目を閉じていたから分からないけど、たぶん吹きかけられていたと思う)黒い鳥の羽で叩かれたり、呪文を唱えたりと…

1時間近く儀式は続き、終わったよと声をかけられると、疲れ切った様子の二人が立っていた。

そのまま挨拶だけしてホテルに戻ったのだけど、その日の夜に熱が出た。

鼻水とかくしゃみとか、そういう症状を伴わない純粋な熱で、それでも頭がぼーっとするから、シャンパンを飲むのはやめて早めにベッドで横になった。

タケシくんが心配そうにしていたけど、なんとなくこの熱は儀式の副作用のようなもので、物事は順序通りにきちんと進行しているように思った。

きっと酷い夢をたくさん見るなと思ったのだけど、案の定怖い夢をたくさん見た。

内容は覚えていないけれど。

翌朝、やけにスッキリした状態で目が覚めて、やけにお腹が減った。

熱は完全に引いていて、なんだか心の中がシーンと静まり返っている。

う~ん、何だか凄いかもしれない。

だからと言って、そこから人間が変わって素晴らしい人になったとか、悟りをひらいたなんてことはないのだけど、長年好き勝手に生きてきて、いろんなところで拾ったり貰ったりしてきたオバケのようなものがいなくなったということだと、自分では解釈している。

確かインドネシアだったと思うのだけど、まぁまぁ、どうしてあなたは入っちゃいけないところに入っちゃうのかねと占い師のおばさんに言われたことがあった。

好奇心が旺盛なのは分かるけど、無茶するといつか死ぬよと脅されたな、そういや。

軍事上の拠点とか、そういう話ではなくて、聖域とか、反対に魔窟みたいなところの話なんだそうだ。

ヤバそうと感じたら入らないようにはしているんだけどね。

そろそろシャーマン会議も終わるという頃になってきて、明日はいよいよ最後の合同討議みたいなのがある予定になっていた。

儀式の最後に巨大なトーテムポールを世界平和を祈りながら立てるそうだ。

でもまぁ、そういうスピリチュアル分野の祈りが叶う前に、もっと現実的な奇跡が俺には起こったのよ。

謎の儀式のおかげかもしれない。