『シンゴの旅ゆけば~!(138)世界シャーマン会議!⑤』

カラオケ大会なんていうイベントもあって、確か機械と話せる兄ちゃんも歌っていたように思う。

その中で、会の運営のためのボランティアスタッフと言っていたけど、地元の大学生が『エヴェンゲリオン』の主題歌を日本語で歌っていた。めちゃくちゃうまい。

日本語は話せないんです。勉強しているけれど難しい。

話しかけるとそう言っていたけど、日本のアニメがいかに自分の人生で重要かについて熱く話してくれた。

とはいえ、彼女の話に出てくるアニメで俺が見たことがあるのは僅かだったけどね。

この頃からなんだけど、フランスに行くとアニメって凄いんだなと思うことが多くなった。

ホテルのナイトシフトの兄さんから『攻殻機動隊』について1時間くらい話されたこともあるし、宮崎駿フェアってのをシャンゼリゼ通りでやっていたこともある。

そういえば、初めてフランスに来た時(もう30年以上前になる)夕方テレビをつけたら『聖闘士星矢』『カリメロ』『キャプテン翼』を立て続けに放送していたこともあったな。

フランスで一番人気があったのは『UFOロボ グレンダイザー』だそうで、こっちじゃ『ゴルドラック』と呼ばれていたとか。原作者の永井豪先生は、フランスに来るとサイン攻めにあうらしい。

それはともかく、カローラ&マリアのシャーマンの儀式を受ける時が来たのよね。

何をされるのか全く分からない状態だったから、ちょっと緊張しながら彼らのテントのある森に歩いて行った。

森の奥まったところから、カローラがすうっと現れて、時間通りねと言ったのだけど、彼女が着ていたのは儀式用の正装で、何というか『ロード・オブ・ザ・リング』の魔法使いのようだった。

全身真っ黒で、頭も頭巾で覆っている。

その椅子に腰掛けて。促されるまま、森のちょっとした空間に置かれた木製の椅子に座ったのだけど、不真面目というか不謹慎というか、ちょっと儀式というのを舐めてかかっていたことを反省した。

場の雰囲気が明らかにさっきまでとは変わってきたからね。神聖な感じとでも言うのかな?

あ、これはマジだ。

インドの寺院で感じたあの感じと同じだ。

そう思っていたら、二人が呪文を唱え始めた。巨大な鳥の羽を手に持って、聞いたことのない言葉で森に向かって祈っている。

これが失われそうになっている言語なのかもしれない。

そう思った。