『フレンチ・フライ依存症』

原作小説の方の『哀れなるものたち』には、主人公のベラと駆け落ちする弁護士ダンカンについて、ベラの創造主であるゴッドが批評する件があります。

あいつは、気分の高揚した状態を「幸福」だと思いこんでいるバカだ。

ゴッドはそう言うのですけど、彼の言っていることというのは、ある種の予言になっているのです。

ダンカン(映画ではマーク・ラファロが演じていました)は休みを必要としないベラに引き摺り回されて、消尽してしまいますから。最後は精神を病んで滅んでしまいます。

永久に続く高揚感なんてありませんから、高揚した状態を「幸福」だと設定していると、いずれは体力も気力も尽きてしまう。ダンカンはそうして滅ぶことになったのですね。

いわゆる麻薬と呼ばれている違法薬物の分類として使われる言葉ですけど、気分が高揚した状態。これをアッパーと言います。反対に気分が沈静化している状態のことをダウナーと言います。

ただ、別に麻薬でなくても、人の気分に作用するものはたくさんあるのです。

例えばアルコールですけど、こちらはダウナー状態になるように中枢神経に作用します。お酒を飲むとリラックスできて、仕事の疲れが取れるなぁ。それくらいならいいのでしょうけど、沈静化する作用に依存してしまえば…アルコール依存症になってしまいます。

実は、気分や意識を変容させる過程にはドーパミンや、エンドルフィンといった脳内伝達物質が関わっていますから、何であっても依存症になる可能性があるのです。

摂食障害を持っている方や、肥満傾向が著しい方に多いのですけど、食べ物に依存することも多いですね。

こちらは、アッパー系の代表といったら「油」と「糖」ですね。ダウナーの方は「ダシ」ではないかと思うのですけど(ああ、身体にじんわりと沁みるなぁと感じる食べ物はダウナー系です)あまり「ダシ」に依存したという話は聞かないですね。利尻昆布の「ダシ」の禁断症状というのはないように思います。

でも、「油」と「糖」それから「カフェイン」をはじめとするアルカロイドには依存性があります。だから、甘いものをガツガツ食べると気分が良くなる(気分が高揚する)という現象が起こるのです。

2004年に公開された『スーパーサイズ・ミー』というドキュメンタリー映画があります。監督でもあるモーガン・スパーロックが、1日3食、30日間ファースト・フード(マクドナルドで提供される食品のみ)を食べ続けると何が起こるかを撮影したものなのですけど、以下のような結果になりました。

体重は11kg増加。体脂肪率は11パーセントから18パーセント、体格指数(BMI )は23.7から27に上昇する。脂肪肝を発症する。

このあたりは、それはそうだろなという結果ですけど、これに加えて躁うつ病を発症したそうです。ハンバーガーを食べていないと気分が沈んでしまう。ハンバーガーを食べると気分が高揚する。そういう症状が出てしまったのです。明らかに依存症ですよね。

彼はベジタリアンのガールフレンドの協力で、元の体重に戻すことができたのですけど…それに要した期間は1年2ヶ月だそうです。

ところで、ハンバーガーも依存性があるのでしょうけど、もっとすごいのはフレンチ・フライかもしれないですね。材料はジャガイモ(つまり、糖質です)それに油ですから。依存するアッパー系の食品の条件にピッタシです。

ちょっとメンタルに問題を感じたら…食生活を見直してみる。こちらも考えてみてくださいね。