『ささやかだけれど、役にたつこと』

お気に入りの場所って持っていますか?

遠くても、たまにしか行けなくても、いつも心にあって、そこに行けると静かな幸せに包まれる……そんな場所。

私は、都内から2時間はかかるのですけど、あるカフェが大好きで、時間ができると訪れます。

これといって、何をするわけでもなく、ただカフェでコーヒーを飲んで、微かに聞こえる程度に流れている音楽を聞いて、それでまたいつもの生活に戻っていきます。

だけど、それが私の心に、ほんの少しだけなのかもしれないけれど、役にたっている。そんな気がしているのです。

日本では村上春樹さんが訳したことで有名になったレイモンド・カーヴァーですけど、ニューヨークの読書好きには、結構人気の作家の一人です。その彼の短編に(といっても、彼は短編作家ですけどね)『ささやかだけれど、役にたつこと』というのがあって、原題は『A Small, Good Thing』なのですけど、そういうものって、人生には必要ですよね。

村上春樹さんは、そういう幸福のことを『小確幸』と呼んでいますけど…小さいけれど、確実に、幸福にしてくれるものという意味だそうです。

小さな幸せという風船があって、もっと大きくしようと、息をいっぱい入れたら、パ〜ンと割れてなくなってしまう。

幸せって、小さいままでいいのかも。無理に膨らませなくてもいいのかも。

カフェでぼんやりとしていて、そういうことよねと最近思いました。

例えば、好きな人ができる。そうすると…相手の気持ちがどうとか、自分をどう思っているのか、そう考えてしまうものですけどね。

もしかしたら、そんなことはどうでもいいことで、本当は、自分の中に静かに佇んでいる愛に幸せを感じるのが小さな幸せを保つ秘訣だと思います。

まぁ、恋愛は叶ったほうがいいでしょうけどね。

無理せずに、ささやかだけれど、役にたつことのコレクションを増やしていく。

ちなみに村上春樹さんは、毎年秋が深まって、初めてニットを着た時のチクチクした感じ…それも『小確幸』の一つだと言っています。なんだか、わかるなぁ。

大きくしようと思わないで。

無理に膨らませないで。

そのままでいいんですよ。たぶん。