『名前の由来②』

トーテミズムというのは…例えば、あなたがカンガルーのトーテムに生まれついたとします。それは、自分の先祖はカンガルーだったという意味であることが多いですけど、いろいろな自分の出自に関しての神話的な物語をもらうことなのですね。

あなたはの存在、または魂はカンガルーの生きている世界とつながっているのですから、あなたは人間であると同時にカンガルーといつも一体なのです。カンガルーという種の生存にあなたは重い責任を負うことになりますし、同じトーテム同士とは婚姻できないとか、あのトーテムとは敵同士のような、さまざまな掟を守る必要が生じるのです。

南方熊楠は、どうも同時代人からは「奇人」として有名だったそうですけど(かなり無茶な方だったようです)「楠」と「熊」につながっていることを自覚していた熊楠が「楠」のトーテムと「熊」のトーテムを生きていたと考えると、まぁ仕方ないのかもしれない。そう思うのですけどね。

「ボディ&メンタル パティオ」というのは、じゃあボディやメンタルとつながっていたり、パティオとつながっている訳ではもちろんなくて、ラカンのいう人間社会にどう引き出されるかの方が重要になってくるのでしょうけど、このパティオという名前…私は本当に気に入っているのです。

もともとパティオ(Patio)という言葉はスペイン語なのですけど、「中庭または裏庭」という意味だそうです。周囲を囲まれた、屋根のない場所や広場のことなのですけど、南スペインに行くと、どの家にもパティオがあるそうです。ですから、パティオ十番は厳密な意味ではパティオではないのですね。

入り口を狭くとって、その奥にパティオの広い空間が広がる。家はパティオを囲むように建っているというスタイルは、アラブ文化に由来するそうですけど、敵の侵入を防ぐことが目的だったのだそうです。

まぁでも、カウンセリングルームから見下ろすパティオ十番は、いつも誰かが楽しそうにくつろいでいて、笑い声が聞こえてくることもしばしばですから、スペインのパティオと同じ使われ方をしていると思いますけどね。

だいたい、スペインの(アラブもそうだと思いますけど)パティオは、シエスタ(お昼寝)の場所ですから。

さすがにパティオ十番に寝ている人はいないですけどね。