『シンゴの旅ゆけば~!(105)夜這い棒の話①』

兄ちゃん、夜這いってのは、男が女の家に忍び込むもんだろ。でもな、高知じゃ違うんだよ。高知の女は激しいからな。女が男の家に忍び込むのが高知の夜這いだ。だからな、河原でキャンプするんだったら、夜中に誰か女が来るかもしれないぞ。

その話を聞いたのは四万十川でダラダラしていた時なのだけど、高校の同級生が一緒だった。そんなバカなことがあるかよと思ったし、もちろん夜中に誰かが来たりもしなかったのだけど、あの頃は(もう30年以上前の話だからね)夜這いなんて言葉が普通に使われていたのだ。

そういえば、この友達とはあちこち国内を旅して回っていて、上高地の河原でキャンプをしたこともある。知らなかったとはいえ、禁止されているそうなので、マネしちゃダメですよ。

せっかく長野に来たのだからと、安酒に馬刺しの燻製、イナゴの佃煮なんていう、長野名物のおつまみを買い込んで酒盛りをしたのだけど、真夜中に消防団の方が夜廻りに来て、注意されたらしい。俺はその記憶がまったくない。

翌朝友達から聞いた話なのだけど、撤去してくださいと言われた俺は、ゲロまみれのまま立ち上がり(その前に吐いていたのよね)なぜかトマトを両手に握りしめたまま、テッキョ、テッキョ、キョキョキョキョキョと歌い出したそうなのよ。それで、消防団の人たちは呆れて去っていったらしい。

酒癖が悪いのは知っていたけどな。前に一緒に飲んだ時には、ロバのぬいぐるみとずっと話していただろ。フロントホックのブラジャーの話を真剣にしているって、あの家のお母さんが心配そうにしていたぞ。まぁ、酒もほどほどにしなよ。

そう言われて、ちょっと控えるようにしたのだけどね。まぁ、そんな話はともかく…パラオの夜這いの話だ。