悪夢を見るという訴えはカウンセリングの現場では、比較的よくあることなのですけど、面白い調査があるのです。
はじめて出産する予定の女性70人に調査した結果なのですけど…第一子を産む際の平均的な陣痛の時間はおよそ18時間です。この70人の平均は13時間36分だったそうですから、平均よりは短い時間で出産されたということですね。
それで、出産する以前に、出産に対して不安を感じるような夢を見た女性たちのグループは、80パーセントが10時間以内に出産したそうです。これに対して平均よりも長い20時間前後をかけて出産したグループの女性のうち、出産に対する不安を感じる夢を見たのは25パーセントだったそうです。
どうも、陣痛に対する不安を感じるような夢を見ると…比較的安産になるという調査結果が出たたのですね。
調査を行ったキャロリン・ウィンゲットとフレデリック・キャップはこう考えたそうです。分娩時に緊張すると血液中の各種化学物質やホルモンのレベルが異常に高まってしまう。つまり分娩が長引くことになるのですけど、夢の中ですでに不安を現実のように感じる経験をしている妊婦さんたちにとっては、ああ、これは一度経験したことだという、言ってみたら心理的な免疫ができていたのでは…。
う~ん。本当にそうなのかもしれないですね。
PTSDの症状を持っている方で、特にフラッシュ・バックが頻繁に起こってしまう脳のメカニズムについては、まだ決定的な答えが出ていないのですけど、心理的な外傷を負うような経験を何度も思い出させることによって、その外傷に慣れさせようとしているのではないかという説があるのです。
となると…悪夢を見る方というのは、おそらく現実で起こることに対して敏感な方なのだと思うのです。現実のハードさを夢を見ることによって受け入れやすくしようとしている。そういう適応的な機能を悪夢は持つのかもしれない。
とはいえ、悪夢を見ると睡眠が妨げられますし、睡眠に入ることが恐怖に感じられてしまうこともあります。就寝中に歯を強く噛み締めてしまって、歯や顎に問題が生じるケースも多いです。
カウンセリングでかなり改善できますから、気になっている方はご相談くださいね。