吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』に、叔父さんが主人公のコペルくんに伝えたいことを書いているノートが出てきます。小説の最後の方で、コペルくんはそのノートを読むことになるのです。
その中に「ありがとう」という言葉について書かれた部分があります。
この言葉は有り難い、滅多にあることじゃないというところから来ている。
自分の受けている仕合せが、めったにあることじゃあないと思えばこそ、われわれは、それに感謝する気持ちになる。
叔父さんはそう書いているのですけど…「ありがとう」の語源は「あるが難し」なのだそうです。
言葉の持つエネルギーの研究をされている、アメリカ人の知人がいるのですけど、彼に言わせると「ありがとう」というのは特別な言葉だそうです。
「ありがとう」の持つエネルギーは、英語の「Thank You」とは明らかに違う。「ありがとう」に匹敵するほど高いエネルギーの言葉は、英語なら「Love」だろう。彼はそう話してくれました。
滅多にないことが、現実に自分に起こっている。それは自分の意思でどうこうできるようなものではなく、巡り合わせという運命めいたものが、自分に与えてくれた幸せに対して言う言葉が「ありがとう」。
日本語って深いですよね。
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