『お正月の過ごし方⑤』

という訳で、『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』と『型破りな教室』を見てきたのですけど、ヒューマントラストシネマ有楽町に着いたのが早かったので、年末に割ってしまったコーヒードリッパーを買いに銀座の町を歩いてきました。
心なしか静かなように思いましたね。まぁ、年齢層が高いということもあるのでしょうけど。

行きつけのローズ・ベーカリーでキャロット・ケーキを食べて、併設されているコム・デ・ギャルソンのブティックも見てきたのですけど、どうしてデニム・ジャケットが11万円もするわけ?
と、なんだか凄い世の中になったものだと思いながら、映画館に向かいました。

人間って、こういう演出と音楽で気分が上がるんだぜ、CM畑出身の俺は知っている!

そういう意気込みがいつも感じられる(それが悪い訳ではないんですけどね)リドリー・スコットの映画が2025年最初の1本になったのですけど、なんかまぁ落ち着いた感じの映画が見たかったものですから『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』は良かったですよ。

じんわりと良かったな。

オタール・イオセリアーニの作品がもともと好きだったこともあって、なんとなく見始めたジョージア映画なんですけど、何と言いますか「騒ぎ立てない」というのが、もしかしたら国民性なのかもしれないと思うくらい、どの映画も静かな感じなのです。

オフビートと言うのか、淡々としているというのかな…アキ・カウリスマキとかジム・ジャームッシュに通じるような、内面は勝手に想像して!という感じの演出なのですよね。

48歳で独身。

雑貨屋を経営している中年女性。それが主人公なのですけど、彼女は男性とつきあったことさえないのです。

自由を愛していて、このまま独身のまま生きていくことを決めている。

どうも、彼女の出産直後に母親は亡くなっていて(おそらく、妊娠した段階でガンが見つかったのだけど、治療よりも彼女を産むことを優先させた結果亡くなったのだと思います)かなり男尊女卑的というか、ちょっと問題のある父と兄の面倒をずっと見てきた人生だったからこそ、一人になった今は自由になりたいという気持ちが強いのです。

その彼女が、ブラックベリーを摘みに行った時に、死にかけたことがきっかけになって人生が動き始める。見たくなるでしょ?