『シンゴの整体(49)つながっている⑥』

整体って、例えば肩こりがひどい方が来たとして、じゃあ肩を緩めてあげたらいいのかと言ったら、そうじゃないことの方が多いのね。

肩が巻き込んでいるというか、前に出ているから、まずは肩を後ろに下げなきゃいけないのだけど、そうなるとどうしても胸椎と「つながっている」大腿四頭筋を緩めてあげる必要がある。

腰方形筋の張りで腰椎を下方に引っ張っているケースも多いから、そこに触れると、ああ、腎臓に施術しないといけないなと、また別の「つながっている」が見つかる。

仙骨と蝶形骨とか、側頭骨と股関節とか他にも「つながっている」ところはたくさんあって、その「つながっている」ところを追いかけていると、いつの間にか、きっと俺の心のどっか奥にある無意識からヘルプが入る。

声が聞こえるわけじゃないけど、ああ、もうシンゴ、おまえはいいから俺に任せなよって感じで手が勝手に適切なところに動くようなことだって起こる。

どうもね、これはもうかなり長い時間(一説には10000時間らしいけど)整体にマジで取り組んでいると、ちょっとご褒美的に起こることでもあるらしい。

施術している俺と、施術されているお客さんだって、触れている箇所で「つながっている」訳だし、同じ空間にいるのだから、どこかで意識が「つながっている」ことも起こる。

共鳴していると言ってもいいかもしれない。

じゃあ、そういう「つながっている」状態を作り出して、いい整体をするためにはどうしたらいいかと考えたのだけど、答えはたぶん俺がリラックスすることと、考えすぎないことなのね。

それから自分の意識を指先に置いて、できる限り敏感な状態を保つこともいる。

そういう一連の話って、これを書きながら遡ってみると、やっぱり諏訪大社の前の喫茶店から始まっている気がするのよね。こないだ行ったら、もうその喫茶店はなかったけど。

不思議よねぇ。まさか神さま絡みの本を読むことが、整体の仕事に「つながっている」なんて。

まだ分からないというか、使いこなせていないことが多いから、引き続き研究はしているのだけど、他にもいろいろと、何か見つかりそうな予感だけはしていて、仕事はどんどん興味深くなっているのです。

人間の身体ってのは、本当に一番面白いと思うな。