『シンゴの旅ゆけば~!(124)-フランス1998年③』

まぁ、この頃は旅ばかりしていたから、今より少しは英語も話せていたからね。
場内放送で、ジャマイカのサポーターの方々に、歌のプレゼントがありますと放送されたのを聞き取ることはできた。

何がかかるのだろうと思っていたら、ボブ・マーリーの『Buffalo Soldier』だったのよ。まぁ、ジャマイカだから当然かと思ったのだけど、次に放送されたのは、ものすごいフランス訛り(なのだと思う)日本語だった。にぃほんのみぃなぁさまにぃ、うたのプレゼントでぇす。

はて、何がかかるのだ?北島三郎とか…?いや、『上を向いて歩こう』とか?
can you celebrateって、安室ちゃんの歌が聞こえてきた時は驚いた。そうか、そうくるのか。まぁ、確かにヒット曲ではあるけれど、ボブ・マーリーと並べちゃいけないような…。

いや、スポーツ好きな人には本当に申し訳ないのだけど、俺のワールドカップの記憶ってここまでなのよね。サッカーの試合内容は全く覚えていない。城彰二っていう選手がどうもやる気が感じられなかったことと、その城選手に対して、会場のサポーターが罵詈雑言を浴びせかけていたことくらいしか、他には覚えていないのよね。

まぁ、それでまたフラフラとホステルに戻り、そこから確か南仏をウロウロしていたと思う。7月8日(準決勝でブラジルとオランダが対戦した日)にはマルセイユにいた訳だけど、マルセイユの記憶といったら、はじめて食べたブイヤベースに、大量の芥子と焦げたような小さなパンがたくさん付いてきたことだけなのよね。

スープは美味しい。俺にしたら奮発して頼んだから、いやぁフランス料理は美味しいなぁって思いながらスープをすすっていた。時々芥子をつけてパンを齧る。なんでこんな固いんだって思っていたら、ウェイター(フランス風に言ったらギャルソンだ)がたまりかねたようにやってきて、いいか、芥子をパンにつける。そしてスープに全部入れる。そうやって食べるんだって言って、スープにパンを放り込んでいった。あ、でも、この方が圧倒的に美味しい。

あの頃、きっと近所でブラジル対オランダの試合が行われていたんだな。
これを書いていて、そう思ったのだけどね。