『シンゴの旅ゆけば~!(123)フランス・1998年夏②』

ボルドーの駅を降りて、まぁ予想はしていたけれど、盛り上がっている雰囲気は全くなかった。そりゃそうだ。そもそも日本とジャマイカなんて、一般のフランス人からしたら、どうでもいい国だろうしね。

後から聞いた話だけど、ボルドーのスタジアムでワールドカップの試合が行われることが決まった時点で、チケットが発売されたらしいのね。その時点では、どことどこが対戦するのかは分からない。もし運よくフランス対ブラジルとか、フランス対イングランドなんてことになったらプラチナ・チケットになるのだけど、残念ながら抽選で決まったのは日本対ジャマイカだったという訳だ。

だから、試合の前日の駅のあたりには、ダフ屋っていうのじゃなくて、こんなチケット要らないやいって、きっとやりきれない気持ちを抱えた子供がチケットを売っていたりした。それでまぁ、ほとんど買い値と同じくらいの金額でチケットを譲ってもらい、それを持ってホテルを探すことにした。

まぁ、前回も書いたように、ホテルが混んでいるということもなく(日本からわざわざ試合を見に来るような観光客はユースホステルには泊まらないだろうしね。)すんなりと見つかったのだけど、これがまた町の中心からかなり離れた場所で、朝食しかないユースホステルだから、食事を食べに行くのに苦労した。さすがボルドーって思ったのだけど、食堂に入るとワインをどんどん飲ませてくれたのだけどね。

それで、翌日スタジアムまで歩いて行ったのだけど、やっぱり閑散としている。以前セリエAの試合をイタリアで見た時のような興奮したムードは何もない。まぁ、こんなものだろうと思って席に座ると、日本から来た応援団の人たちがまばらにいた。ジャマイカ側なんて、ほとんどガラガラだったから、まだ人がいる方だと思う。

衝撃的だったのは、隣に座っていた初老のご夫婦がチケットを日本で買ってきたそうなのだけど、ビックリするくらい高額だった。まさか、子供からチケットを拾ったような形で買ったとも言えず、まぁ現地だといくらか安いですよね…くらいに話を合わせておいた。